新選組を知っている人で、勇先生と歳三の絆を「認めない」「知らない」という人がいたら、モグリである(笑)
史実に於いても、「土方は近藤と非常の仲良しで、近藤を兄として敬っていた」(千葉弥一郎)、「近藤に誤謬なきは、歳三ありたればなり」(松本良順)など、数々の証言がある。
そもそも、私はもの凄く史実にこだわるタイプ。史実を探り、その隙間を埋める形で妄想したい人なのだ。だから私の新選組の小説&漫画は、「男色」(注1)関係以外は殆ど史実に基づいている。
いや、「男色」関係と言えども、全然根拠のないカップルは作りたくない。(注1)世間では男同士の愛を「やおい」とか「耽美」と言っているが、うちの場合は、ちょっと違う。「男色」というのとも、違う。ただの「色恋沙汰」じゃないんですね。
強いて言うなら「男の義と純愛」でしょうか。でも、それではなかなか通じないので、私も普段は仕方なく「耽美」とか「男色」とか言っちゃってますが……。例えば、世間的には『歳三×沖田』というのが多数派らしいが、これは小説等の影響以外の何ものでもない。史実の資料では、まったくそんな感じは漂ってこない。実際、史実で、歳三と沖田に関するエピソードは、片手で数えるほども、ないのである。(この件に関してはこちら。)
(ちなみに私は、史実の新選組に関しては、専門家である(^^;))そもそも、史実の歳三はどう考えても「攻め」タイプではない。
男谷道場では、(外見に関しては)「女のような」と言われたこともあるのだ。(だからと言って、女っぽかったわけではないぞ、決して!)
文字は人を現す、という。勇先生や沖田のような男性的なものと違って、歳三の文字は繊細で柔らかく、女性的である。小説に踊らされるのは私は好きではない。
事実!とは言えないけど、嘘とも言えない信憑性が欲しい。
その点、勇先生と歳三には、信憑性がある。二人は小さいときから死ぬまで常に一緒。実際死ぬときは歳三が勇先生に約一年遅れたけど、その時の歳三の台詞が「ここで降伏したら地下の近藤に合わせる顔がない」だからねぇ。
子母沢先生の本にもある。(二人は)『一心同体の如く深い関係』って(これは小説だが)。
また、上にも書いたが、元新徴組隊士の千葉彌一郎が、『(歳三は)近藤と非常の仲良しで……』と語り残し、勇先生が京都で無事だったのも歳三が側についていたからだ、とも言っている。殆どまったく同じ事を、幕府典医でもあり、新選組の侍医でもあった松本良順も書き残している。そして鳥羽伏見の戦いの時、江戸城中で、勇先生は佐倉藩の公用方、依田学海と会話をしている。
依田が「鳥羽伏見の戦いはどうでしたか」と勇先生に聞いたのだが、勇先生は、肩を鉄砲で撃たれていたため、戦争には参加出来なかった。「ですから、詳細は戦いに出たこの男に聞いてください」と側に控えていた歳三を依田に紹介した。
問題は、この時!!依田の記録によれば、「吾子(ごし)」となっている!
要は、勇先生が歳三に向かって「君、(話してあげなさい)」と呼びかけたことを依田は書いているわけだけど、この「吾子」という言葉。「君」という意味ではあるんだけど、それも、とっっっっっっても親密な呼び方なわけ。 逆に言えば、これ以上親密な呼び方はないってくらい、親密な呼び方。
字を見てよ。「吾子」つまり「吾がもの(自分のもの)」!
だから、「君」というより、「おい、お前」って感じなわけさっ!!
依田は目の前の二人がとても親密だったという印象を受けたから、「吾子」と書き残したのだと思う。父親のような包容力があって、寛容で古風で不器用で武骨で男っぽい勇先生。
一方、現代的で粋で賢くて奔放で怜悧で一見冷たくて(でも心の中は暖かいのよ)、ちょっとお茶目なところもあって、思い切り超ド美人の、クールビューティ歳三!!
歳三にでれでれ惚れまくってる勇先生と、本当は勇先生に惚れてるくせに絶対にそうとは言わない歳三。
なんちゅう素晴らしい組み合わせだ。うるうる。
(ただ、実際の所は、(いい意味で)鈍感で真正直でまっすぐな勇先生を、歳三が必死にサポートし、世話を焼いていたんだと思うのだけれど)ここからは、史実を絡めつつ、私のキャラクター作りの話になりますが……
まずは、多くの人が納得していない歳三「受け」
美人、強い、賢い、クール、見かけと違って内面は男っぽい。で、「受け」ってのは私の理想。しかも「誘い受け」ではなく、「無理矢理受け」(笑)
私が、どうしても歳三を「攻め」にしたくないのは、歳三には「男を求める(欲しがる&抱きたがる)男」になって欲しくない。つまり、歳三に男の尻を追いかけて欲しくはないのだ。
歳三には常に、「求める」側ではなく、「求められる」側でいて欲しい。
みんなに『あの、土方歳三という男を、手に入れたい!自分のものにしたい!』と<思われて>欲しい。
みんなの<憧れ>でいて欲しい
自分からガツガツして誰かを求めるのではなく、クールで醒めてて高貴でオトナ。自分からは何も求めない。なのに周りが寄ってくる。そんな歳三でいて欲しい。勿論、男なんかに全然興味はない。当然女が好き。でも、周りの男(&女)が放っておかない。みんなに求められ、みんなに愛され、みんなに欲しがられてやまない存在の歳三。でも本人はいたってクール。それが私の歳三なの。
見かけは美人だけど、内面は男気があるから、男に抱かれるのなんて、すっごく屈辱に思っている。そんなのはプライドが許さない。けど、どうしても勇先生には、弱い。そして、いざ抱かれてしまうと身体が心を裏切ってしまう。それがまた自分で腹立たしくて、という歳三。
だから、歳三には絶対に「受け」でいて欲しい。そして相手は、これまた世間に納得してもらえないけど(笑)勇先生。
何故かといえば、「史実の二人の絆がそうだから」。まだまだいろいろあるんだけど、あたしゃもう、10数年前から、このカップルで頑張っているのであーる。
少数派で結構。何より史実が私の味方だから。これはあたしの生き甲斐カップル。(解説:ゆうと)