Bud Powell [piano] (1924-1966)
天才トランペッターのマイルス=デービスに「天才」と言わしめた“狂気の天才”ピアニスト。麻薬禍に苦しみながらも、その1950年前後の演奏は突出している。特にこの「Jazz Giant」はヴァーヴ・レコード時代の最高傑作であると同時に、バド=パウエルの残したアルバムの中でも最高傑作と言える。超人的、悪魔的なスピードで弾きまくるピアニストに見事にリズムを合わせるドラムのマックス=ローチも見事。
Clifford Brown [trumpet] (1930-1956)
1953年にトランペッターとして登場し、マイルス=デービスやマックス=ローチとの出逢いによってジャズシーンを塗り替える。パフォーマンスや影響力の点ではマイルスには及ばないが、単純にトランペットを吹くだけという面では、クリフォード=ブラウンが歴史上ナンバー1と評価する評論家が多数を占める。その理由も、クリフォードが25歳で交通事故死し、その時期と重なる様にマイルスがジャズ界でイニシアチブを握り始めたことにも拠る。
Mal Waldron [piano] (1926-)
作詞ビリー=ホリデイ、作曲マル=ウォルドロンで生み出され、アルバムの表題にも残された名曲「レフト・アローン」。しかし実際にはビリー本人が唄い残したレコードは無く、他のボーカルに唄わせる気の無い程にその曲に思い入れの強かったマルは、その後、ジャッキー=マクリーンのアルトサックスを“歌い手”として招き、結果としてそのピアノとサックスの掛け合いが今日の「レフト・アローン」の名曲としての大きな評価に繋がっている。
Oscar Peterson [piano] (1925-)
Foxが小学生の時にジャズの世界に引き込まれた要因となった最高のピアニスト。バド=パウエルが狂気の早弾きなら、オスカー=ピーターソンは正当派の早弾きと言ったところか…。しかし、1959年に録音された「WOODY 'N' YOU」等は狂わんばかりの早弾きを聴かせる。
Charlie Parker [alto sax] (1920-1955)
1940年代にジャズ界に革命を起こした“ビ・バップ”の創始者の一人。ジャズへの入門編でチャーリー=パーカーを聴くと、殆どの人はジャズへの拒否反応を起こすと言われる程に、決して「耳障りの良い」「心地良い」サウンドではないかも知れない。しかしそれは、彼がジャズ本来の聴き所である即興=“アド・リブ”の天才であったから、と分析するケースが多い。
Sonny Rollins [tenor sax] (1929-)
個人的には、ジャズ史上最高のアルバムと思うのが「サキソフォン・コロッサス」。トミー=フラナガン(p)、ダグ=ワトキンス(b)、マックス=ローチ(ds)とのセッションによるこのアルバムは、四十年以上経った現在も売れまくっている(?)。
Thelonious Monk [piano] (1920-1982)
セロニアス=モンクのピアノは、最初は素直に入り込めない様な妙な抵抗感があった。無防備でリラックスして耳に入るビル=エヴァンスのピアノとは異なり、グッと構えてスピーカーを睨み付けて聴いていた思い出がある。
Wynton Kelly [piano] (1931-1971)
ウィントン=ケリーは彼自身のアルバムよりは、他のジャズメンとのセッションでのピアノがとてつもなく素晴らしい、と個人的に思う。とはいえ、「Kelly Blue」は聴いて損の無いアルバム。
Jackie McLean [alto sax] (1932-)
チャーリー=パーカー(as)のサウンドを継承してジャズ界で名を馳せるジャッキー=マクリーン。とびきりサックスが上手い訳ではなく、サウンドも良い訳でない…。が、彼もウィントン=ケリーと同様、他のセッションでのサウンドは重要な位置を占めている。しかし、チャーリー=パーカーのサウンドから少しずつ脱却しながら、彼自身のサウンドを作り出した事によって、その幅は大きく膨らんだ。既に七十歳に近いが、現在も現役として活動し、1996年には大西順子とのアルバムを出し、アメリカ国内ではビルボードでも注目された。
Sonny Clark [piano] (1931-1963)
「古き良きアメリカ」という雰囲気が感じられるアルバムジャケットで、このアルバムは日本でも人気を得た。アート=ファーマー(tp)やジャッキー=マクリーン(as)とのセッションで、表題にもなっている「Cool Struttin」はかなり“いけてる”名曲。
Hank Mobley [tenor sax] (1930-1986)
ハンク=モブレーは、映画で主役を張るビッグネームとは対照的に、ちょっと良い味を出す脇役の様な存在として見られる。しかしその実力を認める様に、リー=モーガン(tp)やウィントン=ケリー(p), 更にはポール=チェンバ−ス(b)やア−ト=ブレイキ−(ds)等のメンバーがハンクのアルバムのバックアップで参加している。
Red Gardland [piano] (1923-1984)
オスカー=ピーターソンやウィントン=ケリーの様なビッグネームではないが、レッド=ガードランドはコッテコテのジャズ好きが好む様なピアニストである。1940年代後半から50年代中頃まではチャ−リ−=パーカーやレスター=ヤング、コールマン=ホ−キンス等のバックプレーヤーとして活躍し、1955年から1958年まではマイルス=デービスクインテットの一員となり、メジャーとして評価される。この1957年録音の「Groovy」はポール=チェンバース(b)とアーサー=テイラー(ds)とのトリオによって、有名な「C Jam Blues」を収録している。
Cannonball Adderley [alto sax] (1928-1975)
活動期間が比較的長いという事もあるが、キャノンボール=アダレイはベスト盤を除いても60枚近いアルバムを出している。その中でも一番評価の高いのが1958年に録音されたこの「Somethin' Else」である。実際にはこのアルバムはマイルス=デービスがリーダー的なものだが、当時マイルスがCBSと契約していたために据え置いた形として発売された。プレイヤーはマイルス=デービス(tp)、キャノンボール=アダレイ(as)、ハンク=ジョーンズ(p)、サム=ジョーンズ(b)、アート=ブレイキー(ds)であり、ハンク=ジョーンズはこのアルバム参加を転機としてメジャーの仲間入りを果たした。
John Coltrane [aito sax, tenor sax, soprano sax] (1926-1967)
ジョン=コルトレーンを好きな理由は音の歪み具合。勿論普通に綺麗な音も出すが、時折サックスの音が歪む。数多くのサックスプレイヤーの音を聴いて来たが、コルトレーンと同じ歪みを出すサックスにお目に(お耳に)掛かった事は無い。まあ、アクの強いプレイヤーだけに、好き嫌いの賛否両論は大きく分かれると思われる。
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